みゅーじかるなえっせい anju:

惜春賦 ~ 白髭編

 

白髪ってのは、真っ白じゃないんだ

だから、少し肌色を混ぜるんだよ と

職人のような指先で

数色のドーランを丁寧に混ぜては

年季のいった歯ブラシにのせて

毛先までは塗らなくて良いんだ と

 

杮落としの劇場の楽屋だった

今は閉鎖が囁かれ

にわかに反対運動が起こっている劇場

・・・ それは また別のお噺、レストラン(苦笑)

 

当時は

すべてが

みておぼえるということから始まり

それを 真似ぶ と教えられていた

 

ポケさんは

手間を惜しまず

ドーランをかさねる方で

特に粉の叩き方は念がいっていた

「親の敵だと思って叩くんだよ」と

念入りとはよく云い得たものだ

いつも、その化粧前の後ろに陣取って

化粧されるのをみて真似たんだなぁ

 

陰影が、生きた時間になるように

飾るためではなく、役のために、観客のために

想えば、あれは

メイクをみていただけではなかったんだ と

意を正して支度をする姿は、本物の意気を感じるもので

それは かっこよかった

 

時に、ご自身のことを

大根役者とうそぶいてらしたポケさん

「でも、大根は美味しいんですよ」 と

今にして想えば

それは、揺るぎない自信だったのだと

 

ひさしぶりに伸ばした真白な顎鬚をなぜては

天国にいらっしゃるお歴々を想いだすと

いまさらながらに ・・・

 

ポケさん、

幸さん、

ピンさん、

立っぁま、

 

いつのまにか、小生も

自前でサンタがやれるようになり候

 

 

                    T.ARA

   とある朝、噂のチャッピー、雪化粧!?