昔は、
といっても70年代後半の記憶だが
斜陽などと囁かれながらも
それはまだ、たいした娯楽だったんだよな、きっと
だって、今のように掌になんでも収まる時代じゃなかったんだから
「ぴあ」という情報誌が週刊になった頃
それは元々は月刊だったか、隔週刊だったような生い立ちで
なんたって、すべての映画・演劇情報がその1冊で事足りたんだ
尻のポケットに「まるめた・ぴあ」ってのが巷にあふれてて
今のオヤジ目じゃ太刀打ちできないような、ちっちゃな情報相手に
さながらパズルでも組み合わせるように、映画館廻りを練ったもんだった
今のような入替え制度もなかったから
特に、俺が日参していた、いわゆる二流舘ではね
だから、ひがないちにち、そこに座っていることができて、呑気だったね
冗談に聞こえるかもしれないが
弁当持って行くとこだったんだから、映画館ってのは 、、、 えっ、まさか?
そこらでは、ロードショー落ちの作品を数本併映しているのが常で
封切りを追いかけるようにして、おもだった公開作品は観ていたようで
その頃から、見るから観るにニュアンスは変化していったのかもしれず
ま、つまらん講義より、ずっと興味深い世界がそこにはあったから
当時の俺にゃ、自己開発の為に通った「教室」だったかもしれない
同じ作品を、気持ちを、絵を、角度を、立場を変えながら、幾度も観ては
理屈じゃないところで、後のための澱をつみあげていたような ・・・ なんて
いつのまにやら、今じゃ我が家が二流舘というありさまに
いかんなぁ、いかんよなぁ
映画は映画館で、芝居は劇場で観なきゃなぁ
んだ、便利さは何かを遠ざけて、ありがたみさえ薄れさせてゆくようで
表身が太るばかりで、中身が肥らんようでは、、いかんよなぁ
なんてみあきない、空
T.ARA


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