今でも好きだ、死ぬほどに

 

外塀を、雰囲気のあるツタが、その歴史を物語っていたような、参宮橋の稽古場

それはきっと1983年、6月

 

自分のなかのあらゆる神経が、一瞬にして、一点に奪われたような

それは、震えるくらいに初めてのこと

悪魔に魅入られた瞬間だったのだろう、今にして想えば(苦笑)

あれからずっと「虜」にされていたんだ

それが初めて観た「ジーザスクライスト・スーパースター」だった

 

とうてい実寸の組めない狭い稽古場だったが

八百屋舞台には地がすりが張られ、役者は扮装し、まだ有線のマイクコードを捌いていた

こちらも僅かなスペースの稽古場の二階から

こっそりと稽古を覗いていたところが、気がつけば乗りだしていたという

初恋の「エビータ」から「ジーザス」に本気で浮気した日だ

 

あとにもさきにも

自分の身体にあんなことが起こったことはないほどに

オーバーチュアから涙と鳥肌と膠着

一筋なんてもんじゃない、滂沱の涙

「ひと夏の経験」のイントロを深夜ラジオで初めて聴いた時以来の鳥肌

それがたえまなくつづくのだから、そうだ、電気が走るって喩えだろうか

顔の筋肉まで引き攣るくらいに瞳孔が開きっぱなしなのに

それでも乾きそうな目を涙がずっとつたわっていた

それくらいに「途轍もない未知」に自分の全部が感応し、信心がうまれた

・・・これでも遠慮気味に描いてるくらいだけどね、狂信者だ

 

そして、87年4月、その末端に入れていただき

91年ロンドン公演にも、94年韓国公演にも、つれてっていただいた

どの演目が一番好きですかと問われたら

なんの躊躇もなく とか

較べるものではありませんから とかではなく

それも

理由なんてなんも語れんのだが

涙をうかべて答えるだろう

 

今回、最新の公演を拝見し

作品というものは「生き物」なのだということを深く思った

そして、レパートリー集団が背負っているものも

信者

               T.ARA


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