そよぐ

 

入道雲が頬をふくらませて

腕組みしてるような夏空の下

すべてがこんなにも色あざやかなんだと

よくもそこまであたりまえを失していたことに愕然としながら

たゆとう陽炎に見惚れてしまいそうな昼下がり

そこで

ハンドルを握ることから

ここでの暮らしが始まった

季節をみおくることが

それが根本の歓びに他ならないことだと

それを知らずにはいられなかったんだろうと

ようやく

疑いがはれてゆくようで

どうしてここへ

いとも容易く問う方がいらっしゃるが

なにを

聞きたいのかと

ちびっとだけデリカシーが鷲掴みにされることがある、たまに

ほんとうに たまに 

めったにあるわけじゃない (苦笑)

そう

だから

だからここへ来たわけで

要は

毒に

負に

太刀打ちする気力が尽きそうに気弱になって

要は

サムウェアを

それまでは

風に

よく救いを求める僕だったものの

とおりすぎるものへの憧れは

演劇への憧れそのものだったと今ではわかるように

2012-08-09

                                                                         T.ARA

* 2012年の夏 こんなことを思っていたらしい